内湾調査令和元年12月 魚が増えました

内湾調査令和元年12月 魚が増えました

11月の底曳網による採集魚は3種50尾と貧弱だったのですが、12月は11種387尾に増えました。尾数については、ヒメハゼFavonigobius gymnauchen(190尾)とネズッポ科の魚(159尾、属不明)の割合が多くこれらで約90%を占めましたが、その他魚種はカタクチイワシEngraulis japonicus(写真1)、ゲンコCynoglossus interruptus(写真2)、メイタガレイPleuronichthys cornutus(写真3)、カサゴ属の魚(種不明)、マゴチPlatycephalus sp.2スズキLateolabrax japonicus、ハタタテヌメリRepomucenus valenciennei、ツマグロスジハゼAcentrogobius sp.キチヌAcanthopagrus latus(写真4)と、多様になりました。

 なお、キチヌについては近年東京湾奥に出現するようになった魚ですので、今回紹介します。

クロダイの仲間 キチヌの仔魚

 今回の調査でキチヌの仔魚が羽田空港沿いのSt.1(通称、羽田洲)で2尾、荒川に隣接する若洲海浜公園沖のSt.3で1尾採集されました。全長は、それぞれ羽田洲が13~14㎜、若洲海浜公園が16㎜で、ふ化後40日前後経過したものと推測されます(写真4)。

キチヌは聞きなれない名前ですが、体色がほぼ黒一色のクロダイ(俗称チヌ)と近い仲間で、キチヌのみ腹鰭・尻鰭・尾鰭が黄色みを帯びていることから、クロダイの俗称であるチヌに黄色い鰭のキを付けてキチヌとしたようです。一方、仔魚期は非常によく似ていますが、クロダイの産卵期が3~6月、キチヌが10~1月であることから、両者は識別できます。

 なお、分布水域はクロダイが北海道以南、キチヌが岩手県以南と報告されていることから、キチヌの方が温かい水を好むようです。現在、羽田空港周辺で漁獲されるクロダイ類は、この10数年、キチヌが圧倒的に多くなっていることから、温暖化による海水温の上昇と関係しているのかもしれません。


 12月図1.png    12月図2.png

写真1 カタクチイワシ                     写真2 ゲンコ(目盛りは1㎜)


12月図3.png      12月図4.png   

写真3 メイタガレイ(目盛りは1㎜)            写真4 キチヌ(目盛りは1㎜)


地図1.png

図1 調査地点図

令和元年12月6 内湾水質調査結果

12月表.png
     


      

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