内湾調査令和6年9月27日 クルマじゃなくてクマエビ

内湾調査令和6年9月27日 クルマじゃなくてクマエビ

9月27日の東京湾は、湾奥全体の酸素濃度が低く、先月に引き続き貧酸素水塊が広がっていました。特に、普段の水質が良いSt.4でも全く生物が採集されず、貧酸素水塊の影響が広がっていたことが推測されます。

そんな中、St.2の羽田沖付近にて、大量のアキアミや魚類と共に、普段あまり見られない大型のエビが採取されました(図2)。

これはクマエビPenaeus semisulcatusというクルマエビの仲間です。アシアカという別名のとおり、大きい個体は足が赤く染まっているのが特徴ですが、今回採取された個体はまだ小さいこともあり、赤く染まっていません。クマエビは、元々東京湾に生息する在来種ですが、温暖な環境を好むため、温暖化の影響を受け、徐々に北上している可能性があります。

また、海底の泥を採取して行う底質調査では、ホンビノスガイMercenaria mercenariaの稚貝(図3)などが採集されました。しかし、多くの地点では生きた貝が見られず、貝殻だけの死骸が多く採集されたことから、貧酸素の影響が見て取れました。

9月14日には、6月同様にお台場海浜公園で開催された「東京ベイ・クリーンアップ」にて、水生生物観察会を開催するために、岩場での手採集、および海浜公園の浅瀬で曳網による生物採集を行いました。6月よりマハゼが減った一方、ニクハゼが大量に採取された他、サッパJapanese sardinella(図4)やヨウジウオの仲間、ミミズハゼLuciogobius guttatus(あるいはイソミミズハゼL.martellii?)(図5)など、前回は見られなかった魚類が採集されました。

東京湾奥調査地点図.png

図1 調査地点図

 

R060927クマエビほか.jpg

図2 St.2で採集されたクマエビ。まだ足は赤くない。

 

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図3 St.1で採集されたホンビノスガイの稚貝。ざらざらとした溝が特徴。

 

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図4 展示水槽。サッパ(中央上)などが採集された。

 

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図5 ミミズハゼ。黒い個体は尾鰭が明瞭に透明のため、イソミミズハゼの可能性がある。

 

令和6年9月27日内湾水質調査結果

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