内湾調査令和4年4月 カタクチイワシとクジラ

内湾調査令和4年4月 カタクチイワシとクジラ

4月25日に、東京港内で発見されたクジラの死骸を観察する機会がありました。死骸は12号地の貯木場に係留されていました(写真1)。このクジラは腹を上に向けて浮いており、長さは目測から10~12mで、外観からニタリクジラの可能性が高く、また生殖溝周辺の形状から雌と判別できました(写真1、2)。

また、生殖溝と肛門周辺の腹の上にはカタクチイワシEngraulis japonicaの死骸が数尾見られました(写真2)。しばらく観察を続けると、周辺に本種が群がっていて、クジラの死骸が波に洗われる時に、しばしば腹の上を乗り越える個体がいる一方、波が引く時に、タイミングの悪かった個体が腹の上の溝に取り残されていました。溝に挟まった個体は、もがくものの、水がないので呼吸できず、暫くすると動かなくなりました。まるでカタクチイワシがクジラの死骸の上に座礁した形になりました。

カタクチイワシがなぜ危険なクジラの腹の上を通過するのか不思議ですが、もしかすると海中にスズキなどの大型の敵がいて、カタクチイワシは逃避行動をしていたのかも知れません。

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写真1 クジラの死骸(12号地の貯木場内)

※青い方形は生殖溝と肛門周辺

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      写真2 生殖溝と肛門周辺の様子

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図1 調査地点図

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内湾水質調査 令和4年4月20日

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