内湾調査令和3年1月 湾奥における塩分濃度の推移

内湾調査令和3年1月 湾奥における塩分濃度の推移

東京湾奥は多摩川、荒川、江戸川といった大きな河川から淡水が流れ込むため、塩分は外洋より低いことが知られています。さらに、河川水はより塩分濃度が高く比重の大きい海水の上に広がる性質があるため、表層と下層の間に塩分濃度の差ができると考えられますが、当所の調査場所ではどうでしょうか?今般、湾奥における最近10年間(平成23年~令和2年)の塩分濃度の推移についてお知らせします。

調査場所は5地点で(図1のSt.1~5)、表層は海面下の深さ0.5m、底層は海底から1m上方として、両層の塩分濃度(psu)を毎月1回測定しました。測定値から月別、場所別、層別の塩分濃度を追跡すると、5地点とも底層(赤い棒グラフ)は比較的高く安定的に推移する反面、表層(青い棒グラフ)は年の中盤から後半にかけて変動が激しくなり、しばしば底層から大きく下方に乖離する様子が見られました(図2)。調査場所の塩分濃度が急激に低下する背景には、激しい降雨による大量の河川水の流入があったと思われます。なお、塩分濃度は表層では2.1~32.1、底層では12.0~32.9(図2)と、両層ともに34程度といわれる外洋より低く推移しました。

図1 調査地点図

図2 東京湾奥における表層と底層の塩分濃度の推移

(平成23年~令和2年の10年間におけるSt.1~5での月推移)

内湾水質調査結果 令和3114

内湾水質調査結果 令和3114

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