内湾調査令和7年3月18日 春のイサザアミとスズキの子

内湾調査令和7年3月18日 春のイサザアミとスズキの子

3月18日の内湾調査で観測された水温は、全ての調査地点で11℃を超え、最低水温を記録した2月と比較して2℃ほど上昇していました。また、前々日までに降った雨の影響もあってか、海水はやや濁っている状態でした。

今回の調査では、一部の調査地点でイサザアミ類(ニホンイサザアミ)が大量に採取されました(図2)。イサザアミは、本調査では、ほぼ毎月採取されるほど見慣れた生物ですが、いつもの通りプランクトンネットで濾してみたところ、いつもより一個体が目立つ様な気がしました。改めて測ってみたところ、多くの個体で体長が10mmを超えていて、その内の一部はおなかが大きく膨らんでいます(図3)。これは雌のイサザアミが持つ、保育嚢と呼ばれる器官で、この中で卵を孵化・発育させます。イサザアミの産卵期は、春から秋にかけて最盛期を迎えますが、春に産卵期を迎える個体は、前年の秋ごろに生まれた、越年個体と呼ばれる個体です。イサザアミの越年個体は、その年に生まれた他の産卵個体より大きくなるため、今回目立って見えたようです。

また、St.3を始めとした複数の調査地点でスズキLateolabrax japonicusの稚魚が多く採取されました(図4)。スズキは釣りの対象種として人気で、東京湾の食物連鎖の中でも上位に位置する魚です。他の魚などを捕食する肉食性の魚ですが、身体の大きさによって食べる餌を変えるとされ、全長30~100mm程度の稚魚期の餌としてイサザアミを食べるようです。

東京湾奥調査地点図.png

図1 調査地点図

  

R070318イサザアミ.png 

図2 St.4で採取されたイサザアミやアキアミなど。
いつもより大きく、太っていて、一個体ずつが目立って見えるような......。

 

R070318イサザアミ・スズキ.png

図3 St.4で採取されたイサザアミなど。
胴体の真ん中辺りに丸いもの(保育嚢)を抱えた個体をいくつも観察することができます。

 

R070318スズキ.png

 図4 St.3で採取されたスズキの稚魚。
イサザアミと一緒に大量に漁獲されましたが、
この大きさのイサザアミを餌にするには、まだ小さい様に見えます。

 

令和7年3月18日内湾水質調査結果

R070318.png

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